■基本種編 品種別考察 1.

お客様から「もう少し基本的な品種についての解説をいただけないか」
「グッピーには多くのレパートリーがあることは判るのだが、はじめて見たいのだか品種がありすぎてかえって訳が解らん」
というおはなしをいただきまして。
そう言われてみますと最先端の部分では入れ込んでいるものの意外と足元は弱いですよね、どの辺がノーマルいや基本的な表現でそれに何がくわわったまた加えで成立しているのか、たしかに判りづらくなってしまっているのかもしれませんね。
そこで本当にオーソドックスな表現での基本品種の考え方?見方などを幾分書いてみようと思います、グッピーの飼育をはじめる時のまた現在飼育されている個体の方向を見る参考になりましたらと思います。

 ブルーグラス・レッドグラス

更新日 2014年4月15日
■2014年4月の個体
■ グラス・モザイク系のブルーグラスです。
■ グラスとモザイクのバランスが割合と良い個体
■グラス・モザイク系のレッドグラスです。
■ アイボリーグラスとの交配によるレッドグラスリボン、
かなりグラスよりの個体です。


「ブルーグラス」人気基本種の筆頭ですね、「レッドグラス」グラスグッピーの基本品種です。

ブルーグラスが人気なのは特徴的なこの青色というより水色かな、の大きな尾びれの大変に美しい青色系の品種です。
その大きな尾びれに細かな黒い点が飛びます、これがまた繊細な印象を与えます、人気があるのももっともなはなしです。

この美しい表現のブルーグラスを飼育繁殖させていくのには一つ問題?があります。
レッドグラスは非常に安定した表現なのですが、ご存じの方も多いと思うのですが、このブルーグラスの仔を採りますと生まれてくる仔たちの表現はすべてがブルーグラスにならないということであります。

間違いなくブルーグラスのペアから生まれた仔たちは、まずブルーグラスそしてレッドグラス、もうひと種ブラオという表現の仔が得られます。
これがメスは皆にた表現ですから、外見上見分けずらいのでメスがレッドクラスだった場合には、ブルーグラスとレッドグラスの仔がうまれてきます。
これはブルーグラスとお付き合いをしていく上にはいたし方の無い部分です。

こうしたことはとうして起こるのでしょうか?
これはこのブルーグラスの青色に見せている遺伝的な構造によるものです。
これは半優勢といわれる遺伝的な構造と言われています。

ここで少し簡単に遺伝的表現をおはなししておきましょう。
たとえば「RR」といったように、グッピーの場合通常こんな風に対で表現をします、この場合このRというのはグッピーの色表現のなかでの赤色を示しています。
またここでのR表現が大文字で表現されています、この状態を優勢遺伝と言います。
表現してみますとRRは当然赤色の表現になります、この優勢遺伝の場合対のうち片方でもRであればこの個体の表現は赤色になります、これに対して同じrでもrrと小文字で表現される場合は赤色の対極表現となり赤色は表現されません。
そしてこのrでの表現はrrと小文字で揃わないと表現されて来ません、これを劣勢遺伝と言います。

なぜここで赤色表現の説明をしているのかといいますとまず、レッドグラスの基本的部分の赤色で遺伝的な表現例というだけで無く今おはなししているブルーグラスの青色表現の一端であるのです。
今おはなしいたしましたように優勢遺伝・劣勢遺伝につきましてはご理解いただけたと思うのですが、ここで先に少しおはなしした半優勢とい言われれる部分です、表現するとRrですね。
基本的には赤色は優勢遺伝ですから普通は赤色になるはずですが、このブルーグラスの場合このRrの個体が青色になるのです。
それで半優勢ブルーなどといわれる訳ですね。
昭和40年代には見られなかった表現で何らかの転座のよって成立現在維持されているものと想像しています。

そこで少し厄介なおななしになりますが、ブルーグラスどうしから仔をとって見ましょう。
RrにRrを交配してみることになります、得られる仔たちは、RR・Rr・Rr・rrとなります、RRがレッドグラス・Rrがブルーグラス・rrの部分は体全体に薄黒い個体になります。
この 体全体に薄黒い個体はブラオと呼ばれています。
このブラオというものはまだ色々なはなしがでておりますのでここでは触れずにおきますが。

これでどこまでいってもブルーグラスどうしの交配はブルーグラスのみにはならないということがご理解いただけるとおもいます。

ここまででブルーグラスのブルーは元々は非常に珍しく貴重な遺伝的な要因であることはご理解いただけたとおもいます。

このブルーの表現につきましては最近詳しい構造がわかってきました。
以前品種研究リポート基本編にて詳しくおはなしいたしましたがブルーグラスのこのブルーは青色の色素胞がある訳ではなく黄色から赤色へと成長とともに変化する赤の色素胞が黄色のままで成長が止まりのそ黄色がウロコを通して入ってきた光が乱反射してブルーに見えるというのがブルーグラスのブルー正体でありました。
この黄色で成長がとまるという遺伝的な構造に原因がある訳です。

これがブルーグラスの青色の関する現在判っている構造です。

さて、次はこのブルーグラスのグラスといういわれる模様であります。
おびれ全体に細かい黒いドットが飛びます、非常に繊細な印象を与えます。
この表現はいったいどこからくるのでしょうか?

お客様の中にはグラスという遺伝的な要因がこの表現をつかさどっているとお考えになっている方もおられるとおもいますが・・・・・。
これが意外に単純ではないのであります。

まず、このグラスということばの表現が少々混乱をもたせたと言ってもいいもかもしれません。

先人たちはこのグラスという表現は透明度が高いという意味合いで使っていたようにおもわれます。
実際こうしたグラス系品種をグラスのみに引っ張りますと、確かに体全体に透明度が増して来ます、それをまだグラス側にもってきますとついには尾びれに柄も無くなり最後にはボトムになります。
いわゆるグラス系ボトムです、しいて言えばグラスの原型はボトムといつてもいいかもしれません。
当時何らかの必要性から体の透明度を上げる必要があったのでしょうね、そこら辺は想像の域を出ませんが・・・・。

このようにグラスに揃えるということと尾びれに細かいドットを出す、要はグラス模様を出すといった方が正解かな、ということは意味合いが異なるといえます。

この辺はグラスのルーツをさぐってみる必要がありますね。
このグラスという品種名はやはり昭和40年代にはみることが出来ません、いったいどこから・・・・・・・。

グラスの初期型はグラス系ボトムにレースを交配させて尾びれをデルタにして柄を出すという仕事だといわれています。
よくブルーグラスにもレッドグラスにも腰のあたりにレースらしき模様が出ている個体をみることがありますね、その仕事の残党であるようです。
粗い言い方をしますと、レースは基本トップソードですからそれにボトムを交配させることでデルタを作りレース柄でグラス模様を作るという作業です。
これがよく言われるところのガラスのグラスであります、こうした交配をベースに長い年月の繁殖と淘汰により現在のグラスになったと想像されています、現在わたしどもで販売をしているグラスグッピーという個体はこの初期のグラスの次の段階のタイプと言われておりレッドグラスなどとはことなります。
要はグラスグッピーというのが適切な表現になるようです。

余談になりますが、ごうしたグラス個体はブルーグラス・レッドグラス・アイボリーグラスなどのグラス個体の柄の立て直しには大変に有効なものです。
通常グラス模様が粗くなってきますと柄の細かい個体に交配させるという方法をとる訳ですが、こうした場合あまりグラスにより過ぎた個体ですと柄の改善が出来てもおびれの再構築に迫れれます。
そこでこのようなほどほどグラスは大変に扱いやすいものです、近年珍しい個体ですのでスペースにゆとりのあるかたはお持ちいただくと便利?な個体です。

こにようにグラス柄を長期にわたって維持していくのには少し手をかけていく必要があるということです。

ブルーグラスのご質問をいただく中で、「グラスモザイク系って何のことですか?」
とよく聞かれることがあるのですが、この辺は説明不足で判りずらかったかもすれません、すみません。
少し説明させていただきます、これは今おはなしいたしておりますグラス柄を形成する際の手法的なものを表現したものです。
今おはなししましたようにグラス柄はグラスとレースからスタートしているということはご理解いただけたとおもうのですが、こうして表現させたグラス柄は非常に細かくまたドットの表現も弱くまたレースの影響からかドットは幾分流れ気味のものになります。
そこで最近のグラス系グッピーでは、グラス以外の遺伝的要因を加えることで自分の狙いに近い表現を得ようとしています。

たとえばモザイクやファンテールまたキングコブラも使う方がおられるようです。
この辺は品種研究リポート2. で詳しくおはなししていますのでご覧ください。
ブルーグラス・レッドグラスの場合モザイクを交配というかモザイクを持った個体というほうが正しいのかな、交配させることによりドットの表現にメラニンを貯める力が強まり結果時にグラスの表現が強く見えるようになります。

この辺は塩梅の問題でしょうが、選別によりご自分の理想に近いグラス柄が期待できるようになるはずです。
それでこの辺のバランスを情報としてリークするためにグラスモザイクなりの表現になっているわけです、基本的に現在市場でのグラスはすべてこうした基本構造でありますのでグラスではないという事ではありません。
まぁこうしたものをグラスと言わないとなれば市場にグラスはいなくなってしまいますものね。

このように理想の個体を得るのには選別がある程度要求されてくるという事になります、まぁオスは見れば判りますでしょうがメスの選別は難しいものになります。
一昔前はおびれが黒く(スミメスなんていった)背びれにブルーが入ればOKと言われましたが近年では一見表現はブルーグラスなのだが構造的にはやみなべという個体が多いもので、ある程度素性の判った構造の見えた個体で無い限り何代が仔を採り構造を見極めてからでないと安易な淘汰はかえって品種的表現を劣化させることが多々あります。
やはりそろった基本構造からのみため表現とうことが長くお付き合いしていくには重要なことと言えますね。


Canon EOS 20D・EF50mm F2.5コンパクトマクロ Photo/S.kobayashi