■品種研究リポート 基本編


ブルーグラスって青色を持っていないって本当、マジ?

“Blue grass”doesn't have blue.

この繊細で美しいブルーグラスですが、実は青色を持っていなかったというお話です!
 

上の画像は言わずと知れたブルーグラスであります。
依然と人気があり、この繊細で淡いブルーは飼育す者に満足を与えてくれる一品種に間違いありません。
私たちグッピーをめでるものとしては、一度は手を出したことの有ることと思います。

この話は以前、独り言にて簡単にお話いたした事がございますが、私の話は特異に判りにくいようで、ブルーのグッピーとお付き合いをしていくにはどうしてもこれから避けてはとおれないお話ですので再度ちゃんと研究リポートとしてお話することにしました。
今まで神話のように語られていた話の真実がここに開く・・・・・・・・。

まず、先に進む前にこの事柄を良く理解しておいて下さい。

皆さん良くご存知の“ネオンテトラ”ですが、この美しく輝くネオンブルーは実は青色の色素を持っているわけではないというのは有名な?話であります。
このように青く見えるということと、青い色を持っているということは別ものという感覚を良く覚えておいてください。

それではまず今までのブルーグラスの考え方から、ブルーグラスはブラオからブルー、グラス模様はレッドグラスから、そして赤、いわゆる言われてきたところのRのヘテロでブルーになるというのが、定説として今までは語られてきた話です。

ということで下の画像をご覧ください。

■レッドグラス
■ブルーグラス

これは、レッドグラスとブルーグラスの尾びれの顕微鏡による画像です。
左側レッドグラスの画像には黒い染みのように見えるメラニン細胞と赤く見える赤い細胞が確認できます。
これに対して右側ブルーグラスの画像にはやはり黒いメラニン細胞と、おいおい・・・・・青い細胞が見当たりませんネ。

目に付くのは黄色い細胞ばかりです、皆さんも思われたでしょうが、イメージとしてはこの画像に濃い色合いの青い細胞がこの黄色い細胞の変わりに映し出されるはずでした。
これはいつたいどう考えるばよいのでしょうか?

では下の次の画像を見てください。

■レッドグラス
■グルーグラス

この画像は、レッドグラスとブルーグラスの尾びれの表面細胞膜を顕微鏡にて撮影したものであります。
青っぽく見えるのは状態を見やすくするために染色されて撮影されています。

レッドグラスの方は整然と細胞が並んでいるのに対して、ブルーグラスはほとんど細胞が破壊された状態で原型を留めているものが少ないくらいです。

これはいったいどう考えればよいのでしょうか?
こうした細胞膜は何層かありその下に色素細胞があるわけです。

これは、レッドグラスでは尾びれの細胞膜は整然とした状態で並んでいるため、下にある細胞の色合いをそのまま見せてくらるのに対して、ブルーグラスの場合は複雑に破壊されたような状態の細胞膜では、素直に光を通す事が難しくその下にある黄色の細胞の色合いは乱反射され、ベースによってわれわれ人間の目には青く見えてしまう?のです。

端的な話ブルーグラスは決して青い尾びれを持っている訳ではなかったということがここではっきりした訳です。

結論としては、ブルーグラスは青く見えているだけという言い方が良いかどうか判りませんが、本質的には青色はもっていない無いということはまぎれの無い事実です。

では、今まで神話のようにブルーグラスから仔を採るとブルーグラスとレッドグラスとブラオが出現する、このブラオとはブルーの意味で・・・・・・。
この話はどうなってしまうのか?ブラオの本当の正体は・・・・・・・・・。

という事で下の画像をご覧ください。

■グラス系ブラオ

これはグラス系のブラオの尾びれの顕微鏡画像です。
横に二本線に見えるのは尾びれの条、いわゆる尾びれの骨であります、そして一面に見える点々が、メラニン細胞です。

有る意味なんじょこりゃです、メラニン細胞しか見当たらないのであります。
これをブルーといっちゃいけませんよね、メラニン細胞しか無いんですから間違いなく“ブラック”ですわな、こりゃ。

では何故この黒いはずのブラオと呼ばれてきたものがブルーに見えるのか?
これはまたブルーグラスの話とはまた異なるのでありますが・・・・・。

まあ、とにかくブラオはブルーグラスのブルーの元では無い事は間違いありません。

ご理解いただけましたでしょうか?
グッピーのブルーを理解する上にはかなりの進歩でありました。


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Canon EOS 10D・EF 50mm Compact-Micro Photo/S.kobayashi
顕微鏡画像についてはDr,G氏より許可をいただきお借りしました