今、私どものステイタス的な品種である“ギャラクシーグルーグラス”ですが、私にとってこれだけセンセーショナルなグッピーは今までいなかったと言っていいですネ。
 ボディーは、細かなコブラ模様、頭頂はプラチナに光、尾びれはブルーグラス模様のグラステール、各品種のまさに良い所取りのような品種でこれ以上どうしようもないといった感じです。

 唐沢氏が店に持って来たのが、約7年ほど前の事です。
私   「こりゃすごいじゃないですか?」
唐沢氏「僕もそう思うんですけど」
といった会話が今でも耳に残っています。

 そもそも、ギャラクシーという品種は、東京の方がプラチナとレースコブラとの交配によって作出されたものと聞いています。
 初期のものは尾びれが吹流し状のものが多く、ボディーはプラチナコブラに輝き、「まるで流れ星ネ」という事で“ギャラクシー”と呼ばれるようになったようです。
 この初期のタイプを唐沢氏が連れ帰り、当時地元にいたブルーグラスと交配したものが元になっています。

 またこのときのブルーグラスが曲者で、当時兼子氏が作ったタイプでした。
 その時代は今のように流通がしっかりしておらず、雑誌に載った品種がすぐに手に入るような事はなく、私どもでも熱帯魚の仕入れに一日つぶして東京まで出向く、といった時代でした。
 そんな時代に、FM誌に初めてブルーグラスが紹介され、その兼子氏に「欲しい」と言われたのですが、当時としては手にいれる術が無く、結局この兼子氏が自分で作ってしまったというタイプのブルーグラスです。

 随分と古い話ですが、当時は国産グッピーという言い方は無かったように思います。地元に長々おりましたグラスグッピー(今で言う所のレース系のグラスグッピーです)に輸入物のネオンタキシード(この頃は、今のような感染症はまったく無かったんです。今では信じられないですが!)を5世代ほど追って整え、交配させて作出されたものです。

 当時は、このように輸入グッピーの中から面白いものを抜いて交配をするような事を盛んにしておりました。
 ギャラクシーブルーグラスといったパターンは、多くの方々が注目して同じような交配が行われたようですが、成立しなかったようです。当時ギャラクシーとグラスを交配しても、次の代でコブラ模様が出ないといったお話を良く聞かされました。

 唐沢氏の所では、1代交雑の時点でかなりギャラクシーブルーグラスらしい表現をすでにしており、当時はいったいどういうことだと思っていました。
 その頃から唐沢氏は、ギャラクシーブルーグラスのメスをブルーグラスの作り直しに使ったりしており、どうにも判らないので彼に
「ギャラクシーのメスを使ってもコプラ模様って仔にでないの」
と聞きますと
「別にでませんヨ」
ですと。

 後に考えるに、彼の所がいち早くメス側にいたコブラ模様がオス側に移ったものと思われ、ここで初めてギャラクシーブルーグラスが成立したのだと考えております、まさにグッピーの神秘ですネ。

 こうして作出されたギャラクシーブルーグラスですが、さらに品種的な安定を求め、唐沢氏は生まれてくるメスの仔をすべて色・模様・etcなどで分類して、ギャラクシーブルーグラスとしての表現の強いオスと交配させて、当りのメスをさがすといった途方も無い仕事をしたようです。さすがにうるさいわけです。
 最近私もアクアマリンギャラクシーブルーグラスの影響からいくらか手を出しているのですが、本当に面白い品種ということがやればやるほど判ってきますヨ。


 では、ギャラクシーグルーグラスとは、どんなスタイルをめざしている品種なのか少々書いて見たいと思います。

 まず、第一のポイントは、なんといっても腰の部分のグラスコブラ模様です。
 細かく繊細な縦線の模様が無数に現れてきます。細かければ細かいほど理想です。この繊細な模様はギャラクシーブルーグラスの売りの一つです。
 よく、ギャラクシーの名前で腰の模様が粗いバーコードのようで3本線ぐらいになっているものを見かけますが、ギャラクシーの模様は基本的にオス側から来ているため、あまり荒らしてしまうと再構築が不可能になってしまいます。

 また、お客様とのお話の中で、「腰の模様は細かいのですが…」とおっしゃられる方にお聞きしますと、大半の方はこの縦線の模様がアミアミ状になっておりました。
  アミアミ状が悪いわけではないのですが、どうもコブラ模様とグラス模様は相性が悪いようで、一代交雑では大変に良い表現をするのですが、代を重ねるに従いグラスがモザイク模様に移行しようとするようです。つまり、縦線模様が揺れだすのがこの前兆です。
  これをスキ勝手に野放しすると、ついには腰が3本模様になってしまうのです。

つづく・・・