■研究リポート 128.


 エンドラーズのはなし 原種のはなし

■こうしたはなしをここでして良いのか解りませんが!
原種型エンドラーズはわたしどもでは人気品種の一つで2004年来ながながと販売させていただいております。
これがこのところ妙にお問い合わせをいただくことが頻繁で、朝お店にきまして「どれどれ、メールをと」
おっ、またお問い合わせかってな感じで。

そこでお買い上げいただきましたお客様へ、また今エンドラーズに興味がある方々へ少し長話を書いてみようとおもいますのでお付き合いください。

博学なお客様はまぁマニアのなれの果てのたわごととお聞き流しいただけましたら幸いであります。

エンドラーズが縁ありまして私ども来ましたのが2003年頃であります。
かれこれ10年ぐらいになりますでしょうか。
個人輸入をしている彼とお付き合いがありまして、得意の電話の長話の中で
「ベネズエラからの便の空き部分に入れてシッパーさんの従業員にすくわせて(当然現地での話ですが)持ち込んだんです」
という情報。

そのころの彼のサイトには10数種のワイルドグッピーという扱いで画像が載っておりました。
エンドラーズ・ラグナをはじめ、全身ブルーの個体やいかにもワイルドグッピーという風体の単眼模様のある個体など様々。

半年ほどしてお電話をいただく機会がありまして、その際
「あのさぁ〜」
「あ、エンドラーズでしょ 」
「わかった」
「そりゃ」
ということでエンドラーズとラグナを譲っていただいたのがはじまりであります。

それまでも自分のところにもエンドラーズという名前のものはいるにはいたのですが、
この個体は問屋さんから仕入れた個体から繁殖させていたのもでこれもいわくつきと言えばいわくつきではあるのですが。

エンドラーズが雑誌に紹介されてすぐこ頃でした。
週2回流れてくるFaxのリストにエンドラーズライブベアラーズの文字。
お付き合いのうるさいお客様に声をかけまして、当然皆がほしいということでたしか10ペアでしたか購入しまして、金額までは記憶が薄いですが安いものでは無かったです。
ひとり2ペアづつでうまく仔が残せたら(子がとれたらという意味と同じ表現のものが得られたらという意味すでに疑っているところがさすが?すごい?良くよんでいる?良くだまされてきている?まぁそんなところ)うまくいった方がみんなに仔を別けるという約束で販売したのを覚えています。

なんでもっと仕入れないのかって、とにかく問屋さんに希望の数がいない、でも飼ってみたい変わりもの?怒られるかな、のお客様のお希望の数がない、出来れば私にも飼わせろという悲惨なはなし。
こうしたギャンブルっぽい話の場合は普通は5ペアくらいほしいものですよね、今のエンドラースのようにきちんとしたデーターがあってしっかりとした個体であるはなしではなのでありますから・・・・・。

案の定、私のところにのこした個体からはでました、黒点グッピーこのへんでいうところの温泉グッピー、あぁ今はほとんど見なくなりましたが当時は旅館街の流された温泉にグッピーが自生しておりましたから。
単眼模様のある普通の見るもの、2の個体のメス両方とも。
まぁがっかりというより
「やっぱりな」
というのが正直な感想、当時は、今もかな?こんなボッタクリ商品は日常茶飯事でしたから驚きもしませんでしたが。

この中で高運だったのか出したやつ?の良心の痛みか?10ペアもってきてその内のひと方の2つのメスの内1つの個体からの仔がエンドラーズのがらになり、そのお客様は小躍りして増えた仔えおもってきてくださりみなさまで分けたのを今も鮮明に覚えています。
今考えてもあり得ない話です、本来ならお叱りをいただいて当然なのでありますが、長いお付き合いのお客様ばかりでだいたいながれを理解されている方ばかりなのでありがたいことだといまでも感謝いたしております。

まぁこんなスタートのエンドラーズですから、今考えればどうころんでもまともな個体な訳がありませんよね。
ですから直接輸入さてれ繁殖されたエンドラーズを見たときは本当に驚きました、端的全く別物という表現しかでませんでした。
この艶のあるオレンジ色巻き込むグリーンとにかく色の厚みが全くといっていい、違う
今まで皆さんと苦労してもってきた今までいたエンドラーズみたいなやつ、としか表現できないもの。
この時ほど「嘘はいかん」と思ったことはありませんでした。

こんのエンドラーズとうものは、そもそもスタートが少し問題があったようです、後日お聞かせいただいたおはなしなのでありますが、
かいつまんでお話いたしますと、エンドラーズのは学者さんのお名前で、この方がまぁ簡単にいえばフィールドから発見され、ここまではいいのですが市場(世界へ)出す時点でグッピーと交配された個体がでていったようで、うがった見方をすればヨーロッパブリードというとグッピー交配種ですと書いてるようなものとおっしゃる方がいるくらいですから。
当時とすれば簡単に交配出来るものが、基本的な構造がかなり異なるとはおもいもしなかったことと思いますが。
事実、2年くらい前になりますが、山田洋氏の開発研究所のお邪魔した際、オランダから見えた方が
「ヨーロッパではなかなかよいエンドラーズにはお目にかからない」
といっていたとお聞きしましたので、なるほどなと思いました。

そんなこんながございまして、わたしといたしましてはこのエンドラーズにはどうしても本物?いわゆるこのフィールドを泳いでいたという確固たる信頼が持てる個体にめぐり合いたいというおもいには格別なものをもっていました、問屋さんや他をとってきた個体では信用に足るものは手に入らないであろうというあきらめもありましたが。

現在当店にいるエンドラーズは、私がはじめて信用に足る人物より信用のおけるデーターと状況でめくりあえた唯一の個体であります。
お付き合いがはじまります、まず100リットほどの水槽で飼育をはじめました。
順調に繁殖がはじまり、ある程度数がまとまってきたところで感染症の無いことも確認ができましたが、くどいわたしといたしましてはこの個体は間違い無くグッピーとは異なった構造をもつものであるという確証がほしく、確かに見た目はバツグンで今までのものとは全く違うのですが・・・・・。

そもそもエンドラーズには疑問がありました。
エンドラーズを話題にしているサイトを見させていただきましたも、お客様のお話をお聞きしましても、とにかく地域変異と称する個体の画像が山のように出てくる。
私的には「なんじゃこりゃ」
という気持ちがありました。
乱暴な言い方をすればネオンテトラの仔をとったらカージナルテトラが出てきたりグリーンネオンが出てくるよなものですからね。
お付き合いがはじまる以前からエンドラーズをお飼いのお客様などにお話をお聞きすると生まれてくる仔にはいろんなパターンのものが出るとおっしゃる。
この2003年に譲っていただいたエンドラーズもある程度の数まぁ100リットルの水槽に一面に泳ぐくらいの数になっては来たが表現的にバラケルそぶりは全くない。
別けてもらったご本家に聞いてみても「みんな同じだよぉ」
とおっしゃる。

そこでどうにも我慢が出来ずお付き合いいただいている先生のお力にすがりまして、私どもサイトをご覧いただいておりますお客様は読んでいただいたとおもうのですが、あの少々グロテスクな画像から顕微鏡画像まで解析をしていただきまして、ここではじめてエンドラーズとはこいうしなものなか明確に判った訳です。

まず色素胞がグッピーとは構造が異なること、皮下構造違い、最下層の色の違い、コノボジュウムの違いなどなど多くのことの陽が当てられました。
こうした違いがある品種として成立しているはずのエンドラーズになぜ表現に不安定なものがあるといわれるのか。

この意味が差すものにたどりつくのには少し時間が必要でした。

ここで、エンドラースといっしょにお譲りいただきましたエンドラーズ ラグナデバドスというのが登場いたします。

ふれこみではエンドラーズの地域変異と紹介されていおりました。
この品種もまぁ色々な表現が紹介されており、名前も表現も千差万別いった風情。

このラグナと呼ばれる個体の表現をエンドラーズと比較してみて、シロウト考えで見ればエンドラース独特のこの黒いバーラインのヘテロ模様にオレンジ色がかぶつて隠れて見え強くボディー全体をオレンジ色に見せているように見えます。

それがなんとこのオレンジ色に下にはこのヘテロ模様は無いのであります。
つぎに驚かされたにはメスの表現であります、エンドラーズのメスはオス同様にこのヘテロ模様を持っていますが、このラグナのメスは全くのニュートラスなのであります。

これには本当に驚きました、一見一族郎党のように扱われて来ていますがかなり基本構造が異なることが見て取れます。
(詳しくは私どもサイト ラグナページをご覧ください)

それにも増して驚かされてのはラグナは原種では無いのではないのかという疑問?

これには少しラグナの飼育の流れをお話しなければいけませんね。

エンドラーズと一緒にお譲りいただきましたラグナですが、当時かなりの高価な値段で取引されておりました。

着いた個体は若いものでオスが幾分かオレンジ色に見えるか見えないかくらいの個体でした、このラグナも100リットルの水槽で飼育をはじめたのですがエンドラーズのように順調に繁殖していくという訳にはいきませんですた。
とにかく一つ減り二つ減りと跳ねだして消え、最後はメス1尾になってしまい
「こりゃ再度お願するしかないか」
とあきらめの気分でいたものが徐々に増え始めたものです。

増えはじめて2〜3年で
かなりの数になっていたのですが。
ひと水槽が失速をはじめました、いきなり仔が増えなくなる現象です、このころは数も多くなり水槽3本に別けて繁殖させていた時です。

その内に、どの水槽にも同じ現象が現れはじめて色々と手を尽くしましたが改善は見られず最後はメス2尾になってしまいました。
こうした現象は、水草の水槽などで長く自然繁殖させていると現れる現象で、飼育歴の長い方はご存じのこととおもいます、そうこうした場合は当時としては待つしかなかったのですが、最悪絶えますが。

最近はこうした現象の現況がつかめましたのでこうしたことは起こりませんが当時としてはさすがにあせりました。

現在繁殖している個体はこの2尾のメスのまつえであります、それはまあ良いのですが。

この個体からまた順調に繁殖がはじまりまた水槽を3つに増やしていたのですが、そのうちの一つの水槽のラグナ表現に変化が現れました。
他の2本の水槽のには今までと全く同じラグナの表現が繁殖されているのですが、この水槽のラグナにはラグナの表現に加え明らかにレース模様が現れはじめました。
この時、他の水槽の個体が跳ね込んだとか そうした話は論外ですから。

これはいったい・・・・・・・。

ここで話はさきほどのお話のつづきの、エンドラーズとラグナは構造が異なるというところに戻りますが。

ここからのお話はあくまで想像の部分をまだ出ていませんのであしからず。

この段階で同じ時期に来たエンドラーズには全く変化なく順調に繁殖が続いていました、これに引換ラグナの方は長い自然交配によ交配種と似たような現象が現れています。
たとえばウィーンエメラルド・プラチナピンテールなどは長い自然交配が続くとこうした現象が現れて来ます。
繁殖の失速、表現のバラツキなどですが、今までこうしたことは選別ミスでかたづけられて来ましたが一概にそうした簡単な結果だけではな事が最近では判って来ています。

そこでこうのように交配種と似た症状が出る個体ということになると、一つの仮説が頭に浮かんできます。
そうです、ラグナってもしかして交配種?
この疑問です、確かに原種とされているエンドラーズはまったく衰えもなくスタート当時のままでありますから。

異なった基本構造・長期繁殖によるムラ・表現の変化これだけ揃えば交配種?という疑いは拭えません。

そうなんです、ラグナは野生種ではあるのだが原種ではなくフィールドにおける自然交配種である、こう考えると非常になっとく出来るのだがいかがなものでありましょうか。

現時点でラグナは、エンドラーズとレース系種のハイブリッドではないかと考えられています。

このようにフィールドにおきまして実際に採集されたからそれがすべて原種であるという考え方は成り立たないという事になります。

話はエンドラーズに戻ります。
ではエンドラーズは今おはなししたラグナのようなことがあるのでしょうか?

お譲りいただきましたエンドラーズを採集した場所は日本でいうところのバス停の後ろの小川でほぼ止水で炎天下水は青水という環境であったそうです。

当然水温は高めでPHは高め、エンドラーズが日本に入ってきたころ出回った木漏れ日で水はピートによってコービー色で云々といった情報とはかけ離れたものです。
まぁおんこうに解釈するのであれはこういうところにも居たということなのでしょうか。
とにかくエンドラーズに対する印象をとにかく変える必要に迫られたといえます。

こうした環境で、10回すくえば10回ともに表現の異なる個体が採集出来るようなのです。
こうした情報からどうも各表現の個体が一定の数で群を作っている可能性が感じらられます、「表現の異なる個体が採集出来る」と言っておりますからこの群ごとの中に原種型と自然交配種が群の単位で混在して生活している可能性を感じています。
運よく原種型にあたれば良いしという事なのではと理解しています。

様はフィールド採集個体といえども自然交配種がいるというとこになります。

こう考えますとエンドラーズといえ ど色々な表現がいても不思議はありませんし、また仔に色々な表現が混ざるというお話も十分に納得できますね。

こうなりますと私にところに来た個体は運が良かったの一言になりますね、本当のところ縁を感じます。
日本に持ち込んだ彼はそうとううるさい人間ですからかなり厳選した個体を持ちこんだことも事実ですが。
従いまして原種型かどうかはある程度緻密な確認作業が必要になるということになります、せめて色素胞の確認くらいは必要になると思います。
あっ私のところのものは確認してありますのでご安心を。

エンドラーズのオレンジ色の色素胞は一度でもグッピーの交配したものはほぼグッピーの赤色の色素胞になってしますようです、基本的には交配させた個体でも顕微鏡下で選別が出来るとするのであればエンドラーズに戻すこともムリでは無いでしょうが、現実としては難しいですね。
二度とこの艶のあるオレンジ色を望むことはできなくなります。
こうしてみても貴重な品種であることは間違いありませんね、あっ一つ ここでいう一定の地域的な表現ですが単純に一定の地域というと長野県くらいの広さの地域を言いますので感覚が違うので一言。

表現が安定するというおはなしで、今までお話して来たように確かに遺伝的な構造が揃うことでほぼ同じ表現の仔たちを得ることが可能になってくることはまずの大前提条件です。

しかしそれだけでは思うような結果は得られません。
まず先ほどエンドラーズの生息地のお話をしましたが、日本にエンドラーズが紹介された頃の情報のように弱酸性の軟水という条件ですと、正直なところエンドラーズは安定した表現で安定して繁殖させるは実のところ大変に難しいであろうと考えていました。

口で簡単に弱酸性の軟水という条件というもののフィールドにおいてこうした条件は非常に難しいのであります、簡単にいえば何かしなくてはならないということ。
今様で申しますとたとえば水草の水槽、炭酸塩硬度をつり上げてCO2によってPHをコントロールする。
などのような環境で、ピートや薬物でPHを下げるとコントロールして下げ止めることは難しくPHは下がり切ってしまう。
PHを弱酸性に保つのは意外と厄介なものでPHを弱アルカルPH値で7.3〜7.6くらいの保つ環境の方がはるかに楽で現実味があります。


エンドラーズの適正飼育条件が当時の情報のように弱酸性の軟水という条件であれば飼育下でのエンドラーズの維持はこうした条件下を維持することはむずかしい為良い結果を期待すること自体がムリと考えていたわけです。
実際最初に問屋さんから仕入れたエンドラーズが同じ表現にならなかったのも最初水質をうたがったくらいですから、まぁこの時はあてはずれではありましたが。

実際のエンドラーズの自生地の条件をお聞きした時にはこれはいけると思いました、この条件ですと水槽にサンゴ砂が少し入っているだけで維持出来ます。
管理に手がかからないという事は飼育に現実味があります。

なぜ飼育環境がそれほどの問題なのか?

てっ
ことで交配品種を引き合いにお話いたしましたら判り安いとおもいます。
画像でご覧いただております、プラチナピンテールですがこの品種はご存じのとうり改良品種です。
この品種も水草水槽などで自然繁殖を楽しむ方もおられると思います、私のところでも長いお使いの品種でかれこれ20年以上になります。
現在は180cmの水槽を中心に何本かの水槽で繁殖させております、この品種が一時期ほとんど絶える寸前までいって事がございます。
今はどうか知りませんが当時トニナが随分ともてはやされた時期で当時このプラチナピンテールを繁殖させていた水槽にもトニナが一面に植え込んでありました。
このトニナという水草はかなりの酸性を好みPH値で5.5くらいになっていました、グッピー自体は徐々に下がる分のは5.0くらいまでは持つのですが・・・・確かに繁殖は続き水槽内のグッピーの数は増え続けていました。
ところが気がついた時には、生まれてくる仔たちはほとんど単眼模様のあるワイルドグッピーの様な表現の個体が大半になってきてしまいました、ピンテールの表現など全くです。
慌ててサンゴ砂を入れた水槽を作りプラチナピンテールらしい個体を選別、数的には10尾居るかいないかのかずでした。
その後に生まれてくる仔はまたプラチナピンテールに戻り絶滅を免れた記憶があります。

このように表現は遺伝的に揃えるだけではダメで、その品種にあった水質を見つけないと安定すべき個体も安定出来ないわけです。

こうしたことはエンドラーズも同様に起こります。

現在エンドラーズは何本かの水槽に別けて繁殖させていますが、温室内のものは全く問題なく繁殖しているのですがラウンジに展示ように出してある水槽内のエンドラーズは冬場夏場のは表現の多少違ったものが現れます、これは水温の上下によるものでラウンジの加温設備の弱い水槽ではどうしてもエンドラーズにストレスがかかります。

思いつくままに書いて見ましたが、単純に原種と済ませようとしてもやはり本物でありきちんとした管理が必要である訳です。


Canon EOS 20D・EF50mm F2.5コンパクトマクロ Photo/S.kobayashi