■研究リポート 基本編 5.


ウィーンエメラルドの秘密.1

■ウィーンエメラルドの表現型を割合と忠実に再現している個体です。
ウィーンエメラルドは基本的な構造はダブルソードではないのです。

ここでソード・ラウンド系品種のセールをしたせいかまたもやウィーンエメラルドにつきましてお問い合わせいただく機会が多くなりまた私どもWebサイトへの検索でもこのウィーンエメラルドでご覧頂いているお客様も多く、今までお出かけいただきましたお客様以外ではあまりこうした場ではあまり深くをお話してはいなかったのですがそろそろこうした完成された品種につきまして理解を深めていただくのも良いと思いまして今さらなのですが話題にしてみました。
大半のお客様の疑問はようは「何をもってウィーンエメラルドと言っているのか?」という部分です、そう言われてみればウィーンエメラルドとはゆうもののはっきりとこれをもってウィーンエメラルドとするという表記は今まで見たことがありませんでしたね、そこで。


まず上の2つの個体の画像をご覧ください。
これらのウィーンエメラルドは私どもに来ましてかれこれ20年近くなるものです、当初はトップ・ボトム・ダブルソードかなりバラつていたものでしたが長年の淘汰により2〜3年を過ぎてからは現在のような表現にほぼ落ち着いてきました。
大変に良くウィーンエメラルドの基本的な表現を表している個体です、お客様にお聞きしますとウィーンエメラルドの名前でかなり色々な表現のものが市場では出回っているようなのでこの画像で本来のウィーンエメラルドの姿をなるべく解りやすくお話してみようとおもいます。
それでは ウィーンエメラルドの基本的な表現条件を上げてみます。

1).尾びれの色合いの表現が上下異なること。
2).体に単眼模様(黒い点の柄)が現れること。
3).腰の付け根にグリーンの色合いが表現されること。
4).背びれの色合いが黄色になること。


厄介な話を除けばざっとこんなところになります、 画像から良くごらんください。
では何故こんな断定的なことが言えるのか?
これがウィーンエメラルドの面白いところです、この今上げた表現の条件を満たさなければこのような体型にならないという色合い表現と体型表現がある意味で相互関係にある訳です。

ちよっと話がやっかいになって来たのでもう少し細かくおはなししてみましょう。
まず尾びれの話から、何故上下の色合いの表現が違わなければいけないのでしょうか?
これは ウィーンエメラルドは基本的にダブルソードではないからです、つまり上側のソード表現と下側のソード表現をつかさどる遺伝的な要因が異なるからです、思い起こしてください「ウィーンエメラルド ダブルソード」とはどなたも言いますせんよね。
端的にいうとトップ付きボトムな訳です、当然遺伝的なファクターが異なる訳ですから色表現は違ってあたりまえというか違わなければこうならないということになります。
下の画像をご覧ください。




一見ウィーンエメラルドに見えますが実はこの個体はY型ダブルソードです、先ほどのウィーンエメラルドの表現条件と比べてみてください。
尾びれは上下同じ色合いの表現をしていますしダブルソードとしてはこちらの個体の方が長くきれいに伸びてきます。
背びれには色が無くまた腰にはグリーン色の表現もありません。
このように良く見比べてみますとこの個体はウィーンエメラルドとは別の品種であることがお解かりいただけるとともにウィーンエメラルドがいかに複雑な品種であるかがお解かりいただけるとおもいます。
品種としてはこの品種のようにYにダブルソードを持っているこの品種の方がウィーンエメラルドよりはるかに安定しています、しかしこうした部分がウィーンエメラルドの魅力ともいえます。

まずここまででウィーンエメラルドの尾びれの構造についてはご理解いただけたことと思います。
まだまだ条件がございましたね、ここまでお話が少々難しくなってしまったのでと続きはまた後日ということで。



Canon EOS 10D・EF 50mm Compact-Micro Photo/S.kobayashi