■研究リポート 64.


レッドエンドラーズから、原種の話へ

■2009年10月のレッドエンドラーズの固体です、初期の表現より赤の表現は強くなっています。

 
■もう私のところに来て8年目を迎えようとしている原種型エンドラースの若い個体です。
こうして比べてみると随分と印象が異なりますね、この赤色の違いがお解かりいただけますでしょうか?
原種型エンドラーズの赤色表現は赤と言うより強いオレンジ色ですね。

■レッドエンドラーズってエンドラーズ?・・・・・・・・・・・・・・・。
レッドエンドラーズのリリースからエンドラーズとの絡みについて色々なご質問をいただきましてお客様おひとりずつ詳しい説明をいたしますのは骨が折れるので(すみません)長くなりますし、情報として基本的な部分から少しずつですがお話して見ようと思います。

やっと安定してきたレッドエンドラーズですが、ご質問をいただきましたお客様方のほとんどが原種型エンドラースとルブラの交配種と思われておられたようです。
しかし実際このレットエンドラーズの表現を最初に得られたのは個体はルブラとは無縁な交配からでありました。
一時原種型エンドラーズを多種多様なグッピーの品種と交配させていた時期がありましてその中から得られた個体でした。
出現した交配から得られた胴胎のメスを選び約一年間胴体で交配を続けて見ましたが、この腰の部分の強い赤色はなかなか安定せず残念ながらそろそろ挫折かなというところまできていました。
そこで考え抜いた末にルブラのメスと交配しました、そこから得られたオスの仔たちはすべてレッドエンドラーズの表現になりました。
これは一体どいゆう事なのでありましょうか?

また面白いのは腰の部分の赤色であります、レッドエンドラーズの表現は強い赤色でルブラの表現は淡い赤紫色です。
この色合い表現の違いが表現する上での構造の違いが伺えます。
ここら辺がレッドエンドラーズでありエンドラーズルブラではない理由なのであります。

■エンドラーズとのクロスによって・・・・・・・・・・・・・・。
このように一見似た品種に色合いの表現の違いが表れるのでしょうか?

これをお話するにはまずエンドラーズについて再考してみる必要があります。
以前エンドラーズのお話をした際、原種型エンドラーズが表現するきれいなオレンジ色の色素胞とグッピーが持っている赤色の色素胞は違うという説明をいたしました。
一応現在のところエンドラーズはグッピーとは別ものということになっていますからちがっていてよいの?ですが、実際交配が出来るわけですから品種的なハードルはさほど高くないともいえます。
そうしてエンドラーズとグッピーを交配させた場合得られてくる個体は代を追うごとに加速度的にグッピー化していきます、一度交配させたらほとんどの部分で表現的構造はグッピーですね。
以前ご紹介したエンドラーズブルーなどはエンドラーズがもっともグッピー化したひとつの表現の典型です。

こうした要因によりレッドエンドラーズの赤色が独特であり得るところです、ある意味で原種でないから出来る表現と言える訳です。
なにも原種にこだわるのではなくこのようにうまい表現方法は拝借してみるのも一考であるのではと思うのですがいかがでしょうか。

■揃っているということ、原種であるということ・・・・・・・・・・・・。
こうした交配は最低でも片親は遺伝的に整理されていないと結果的に非常にむずかいものになってしまいます。
このレッドエンドラーズの場合もそうですが、時間をかけて胴胎交配を重ねても良い結果が得られなかったのに対してルブラを交配することで簡単に固定することに成功しています。
なぜなのでしょうか?これが遺伝的にそろっている品種の強みなのでありますがここで問題なのはエンドラーズであります。

前振りが長くなりましたが、改良品種の場合は人為的に根気よく積み上げられた遺伝的な要因によって品種的に仕上がってきた場合大体構造が予想出来るようになるのですが、自然のものはそうはいきません。
そこでちょうどエンドラーズがらみの品種の話になりましたので原種の考え方に付きまして少しお話してみましょう。

みなさんはこんな話をご存じだろうか?
”フィールドにいる原種とフィールドにいる雑種”
用は自然にいてもすべてが原種とは言えず自然交雑種もあり得るということであります、エンドラーズにおきましては良くお客様から「私の飼っているエンドラーズは表現がバラケル」とか「表現が安定しないものが多い」とか「淘汰していけば表現が変わっていく」などと言ったお話をいただきのですが、基本的にエンドラーズは原種でありますからそうしたことは起こりません。
私のところのエンドラースはお付き合いがはじまりましてすでに8年目を迎えようとしていますが、ウォータースブライトの中で安定した表現のまま自然繁殖が続いています。
本来原種というものはそうは表現がそう簡単に変わるものではないはずです、お聞きするお話のようにエンドラーズから色々なパターンが出現するというのは、簡単にいってしまえばネオンテトラからカージナルテトラが生まれたりグリーンネオンが生まれているようなものでそうしたものはとても原種とは言い難いと思うのですが・・・・・・・・・。
多くの変異種がいる、自然交雑種がいる、本来の原種、とらえ方で線引きが微妙なのですが原種と簡単にいう前にこんな話を踏まえていただくと少し深いところに話がいくのでは。



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