■研究リポート 63.


ルブラの秘密
5.

□2009年09月のネオンテトラグッピーの固体です。

この品種はルブラ・ソード系改良品種の中では絶品ですね、ソードもきれいになってきました。

前回の続きであります。

■ルブラ表現の基本的な構造の面白さ。
前回いくらか触れましたがルブラを表現させるにはお話したようにルブラ因子がどこかにそろえばOKというものではだけのものではないということがおわかりいただけたことと思います。
では一体何が今までと異なっているのか?

今までグッピーが表現できる赤色はベタっとした構造で表皮を覆ったようなもので赤色を表現した部分ではほかの表現を合わせて表現することはできませんでした。
解りやすくいえばレッドテールの上にコブラを表現できませんよね、ルブラの場合はそれが可能な赤に近い色素胞をっ持っているという訳です、最近この赤の表現が今までのものと異なるということがはっきりと証明されました。
ですから重なって表現できるということは逆説的にいうと一見不安定に見えることになりますが、そこでこのルブラを表現できる環境をきちんと揃えてやる必要がある訳です、つまりルブラを持っているというだけでは安定した表現は期待できないということなのです。

■ルブラ系改良品種からルブラを探ってみる。

上の画像の個体をご覧ください、ネオンテトラグッピーとして親しまれている品種です、最近の個体は結構きれいなダブルソードを表現しています。
今までこんなカラーパターンのグッピーが居たでしょうか、この品種のように下地がしっかりしているタイプはルブラを安定して表現することができます。
では下の画像をごらんください。


この固体は、2009年09月のウィーンルブラにグラスを交配したものです。

この個体はまだプロトタイプです、ルブラのグラス系品種を成立させようとしているものです、基本的にレッドクラスルブラを狙っているのですがまだ下地が完成していないためルブラ独特の成長とともに色合いが濃くなる特性ためルブラの表現は強く表現されるようになった赤色で圧されていますが独特な感じがしますね、もう少し作りこみが必要です。

またこのルブラと同じ様な時期に海外でもこうした表現をねらった品種が出てきていました。
US系とシンガポールです、この辺の品種もこうした要因と環境という今までのグッピーの品種にない手法にかなり手を焼いているようであまりうまいものは聞きませんね。
ものによってはこのような表現をつぶしてしまう要因をだいているものもあるようでこうしたタイプは維持は難しいものと思われます。
ルブラの場合最初に固定できたタイプがウィーンルブラというくらいで、ルブラの要因が単独で分離できているようでこれがまとめると非常に安定した品種になるひとつの要因になっているようです。

このようにルブラ表現を安定させるには表現できる構造的・また遺伝的な環境を整えることが重要になるわけで、この辺が今まで整理作出されてきた品種との大きな違いになります。
一見複雑な話に聞こえますが、いったん揃えられたルブラ要因とルブラ環境はかなり安定しており胴胎交配を重ねることで維持することが可能です、まぁ複雑なものはそろえば崩れにくいといったニュアンスです。
お解かりいただけましたでしょうか、ちっと厄介ですが。


2009年09月のRREAレッドスポットブルーです。

■広がりを見せるルブラ的表現
上の画像は以前RREAレッドスポットブルーとしてご紹介した個体の現在の表現です。
この個体はRREAネオンテトラグッピーから得意技?の1尾出現したものです、仔のうちは全身ブルーであったものに画像のように赤色がまるで染み出るように表現されてきたものです、まだ憶測の域を出ていませんが基本的にはルブラ的表現のひとつではないかと言われています。
このように今まででは考えられな表現がポロッポロッと出現してきています、こうした表現構造はこれからグッピーの表現の一角になってくるのかもしれません、正に新素材ですね。

ご要望もありルブラについて現在お話できることを5回に渡り書いてみました、このルブラという新素材を少しはご理解いただけましたらありがたいのですが、そしてこの美しいルブラ系品種の新品種にチャレンジしてみてください。
でまた新しい内容がでてきましたら、今回の連載はここまで。

 



Canon EOS 10D・EF 50mm Compact-Micro Photo/S.kobayashi