■研究リポート 60.


ルブラの秘密
3.

□2007年09月のレースルブラ固体です。

この固体は普通体色のルブラです。

前回の続きであります。

■他品種と交配する事によるルブラ表現の構造を探査、レースルブラを作る。
まずはレースとの交配をこころみました。
この段階ではこの交配は色彩表現と柄の取り合わせという発想であまり深い意味は考えていなかったのですが、これもけがの巧妙?か多くの収穫を得ることになります。

まずオスにY型レースを使いメスに固定できたルブラを交配させました、F1ではオスはすべてレースを表現しましたがルブラを合わせて表現した固体は得られませんでした、メスはすべて無地の表現です。
そこでもう一代胴胎で仔を採って見ることにしました。
うまく次の代の仔を得ることができましてこの仔たちの表現に期待がかかりました。
大事に飼育して得られた仔たちのオスの表現にやっとルブラとレースを同時に表現した固体を得る事ができました。

しかし、レースルブラを表現したのは得られたオスのうち約50%で後の仔はレースの表現のみになりました、メスの表現は全て無地でした。
通常こうした交配によって表現されるバターンから考えられるのは、今までですとルブラ表現は常のホモとかXルブラのホモという想像が出来ます・・・・・、がこれがそう簡単な話にはならなかったのであります。


この固体は、2008年01月のウィーンルブラデルタです。

ここまできたのですからまずレースルブラを固めてしまおうということで、F2で得ることのできたレースルブラ表現のオスを固定できたウィーンルブラのメスを交配させることにしました。
思いどうりこの交配から得られた仔たちは、まずオスはすべてレースルブラの表現になりメスはやはりすべて無地表現のメスになりました。
これで一応レースルブラは固定できたと思ったのですが、これから話がやっかいになっていきます。

すべてレースルブラの表現になったわけですから基本的にはこの後は胴胎交配を続ければ話はOKと思われました。
確かに代がすすまないうちはすべてレースルブラの表現になっていましたが、代がすすむに連れ段々にルブラの表現が弱い固体が現れるようになり大体50%くらいがレースルブラの表現になり残りはレースのみの表現になってきました。
この時点でさすがの私でもこのルブラ表現はやばそうだという気がしてきていました。

このまま胴胎交配を重ねて見ますとついにレースルブラを表現せずレース表現のみの固体しか得られなく個体も出現しこのレースルブラはもう少し掘り下げる必要にせまられることになりました。

ここで問題になるのは、レースルブラから得られる仔のなかでルブラを表現しない固体はルブラ表現が消失しているのかまた、ルブラを持っているのに表現が出来ずにいるのかという点です。
この二つの意味合いはかなりルブラを理解する上で大きな問題になります。
そこでこの辺を確認するためにレースルブラをRREA種にしてメラニンを押さえてみればレース模様をすかせて下地を見ればこの辺がわかるかも知れないと思いRREAレースルブラにしてみることにしました。
幸運にもRREAウィーンルブラが固定できていため作出にはそれほど手はかかりませんでしたが・・・・・・・・・。

RREAレースルブラが固定できたので胴胎交配を重ねて見ました、代を重ねるに従い普通体色のレースルブラと同じに代を追うごとにルブラ表現の弱い固体が出現しました、普通体色の時よりルブラの劣化?が早いように思えました。
残忍ながら思惑のようにRREA種することでルブラを見抜くことはできませんでしたがこの交配によっていくつかの収穫があったのは事実です、なにごとも実践講座ですね。

このような交配をしている間にも、ウィーンルブラは代を重ねていましたが非常に安定していました。
RREA種にする段階でレースルブラをウィーンルブラにもどして交配するとルブラの表現が強くなり交配初期のように得られる個体全体にルブラ表現がもどってきます。

ここで大きなミスをしていた自分に気づきました、レースは赤の抑制因子であるということです。
基本的な設計ミスであります、気づいた時には愕然といたしました。
レースに赤系の因子であるルブラを交配させた訳ですから当然代がすすめばレースによるルブラ表現の抑制がすすみルブラが表現できなくなるのは当然でありました。
そこで最近のレースルブラはルブラの表現を見ながらウィーンルブラに戻すという手法で維持しています、多少手はかかりますが良い表現が確保できています。

この段階で今までの品種と異なるデリケートな部分がルブラにはあるということが判りはじめました。
遺伝的に持っているということとそれを表現出来ることとは別に考えなくてはいけないという部分です、今までの品種は遺伝的に揃えばまぁあまり考える事無くそれなりに表現してくれた訳ですが。
ルブラのように一つの表現をするのに多くの遺伝的要因を要求される表現の場合では、必要な要因とそれを妨げる要因をキチント整理して構築する必要がある、この辺がルブラの面白さの一つであることが解かってきました。

ルブラとレースを交配することで色々なことが解かってきたのですが、そこで次の交配では尾型へのチャレンジです、尾びれをデルタ型にてルブラ表現をさせてみることにしました、またこのチャレンジによって新しい発見がありました。

続きはまた後日。



Canon EOS 10D・EF 50mm Compact-Micro Photo/S.kobayashi