■研究リポート 59.


ルブラの秘密
2.

□2008年05月のウィーンルブラ親固体です。
この固体は普通体色のルブラです。

前回の続きであります。

■ルブラの固定にいたるまで。
とにかくこの時点で、まぁこの時は名前もありませんでしたが腰の部分が赤紫色の独特の表現の固体がオスで2〜3尾得られた訳です。
そこでまず仔をオス・メス分けて飼育しました、ここで得られたメスは7尾でした。
オス側はルブラ表現をしているものだけ残し早めに得られた全てのメスと交配しました、やがてどのメスからも仔を得る事が出来ました。
得られた仔は各々メスごとに水槽を分けて飼育しました。

各メスから得られた仔たちの表現は3尾は全くルブラを表現しなかったもの、4尾は得られた仔の約半分の比率でルブラ表現をするものとに別れました。
ここでルブラを表現したもののみを残し各メスごとに胴胎交配を行いました、とにかくルブラ用に水槽が増えるばかりで40本を越えてしまいこの時は手をやきました。


この固体は最初にウィーンエメラルドから出現した固体です。

このようにして得られてきた個体はやはり全くルブラを表現しなかったものと約半分の比率でルブラ表現をするもののみでこの段階では100%ルブラを表現するメスはひとつも現れませんでした。
またメスの表現はすべて無地の表現で外見上は全く同じ物しか得られませんでした。

この際、紙の上で色々と思考を重ねてみたのですがどうしてもスカッとした解答が得られず根本的な見直しを迫られることになりました、この段階ではいくら代を重ねてもルブラとしての出現が50%しか得られずまるでブルーグラスの出現のようでもしかすると遺伝的に揃った段階で出現率50%ということも疑って見なくてはと考えるようになっていました。

どうにも打開策が見えないので、そこでDr.G先生にお願いしましてメスをホルモン処理していただきましてメス側の遺伝的な表現を探って見ることにしました。
発色したメスを見て驚かされました、オスと全く同じルブラを表現してきました。
これで基本的にはルブラの現況は常かXと想像出来ます・・・・・が、これがそう簡単いかなかったのであります。

 
ホルモン処理された当時のルブラのメス      当時胴胎から出現してくるルブラ表現をしないオス

この間ルブラ表現の固体を使い胴胎交配を続けていたのですが相変わらずどの固体からもルブラの出現は50%でありました。
通常ホルモン処理した個体は繁殖には使わないのですが今回はワラをもつかむ気持ちで処理の影響が戻るのをまって交配してみました、頭の中ではオスもルブラ、メスもルブラを表現したものこれで得られる個体はすべてルブラという打算?がありました。
やはりホルモン処理の影響でなかなか仔は取れませんでしたがようやく一回だけ仔が取れまして30尾ほどだったとおもいます、期待しながら飼育を続けました。
これがななんとルブラを発色した仔はやはり50%であったのです、この時はさすがにがっかりしました。
「もういかんなルブラは100%固定はムリなものなのだろうか・・・・・・・・・?」
すでにルブラがらみにさいた水槽は60本にとどこうかとしていました、まぁメスすべて別に仔を採っている訳ですから仕方ないところなのですが。

さて一見迷路に入ってしまったルブラでありましたが、結末は意外あっけない固定でした。
すでに物量作戦気味になっていたメスの総当り戦の内一つのメスの仔があっけなくすべてオス側がルブラ表現になりました後にも先にもこのメス一尾だけでした、半分出現50%説に傾いていた私にはある意味面食らった感じではありましたが、こうしてどうにかこうにかルブラを固定することができました。
すでにかれこれ二年の歳月が流れていました。
こうしてルブラが100%出現した固体から以後の仔たちはすべてルブラになっています。
しかし固定までこぎつけたもののこの段階では遺伝的な構造には多くの疑問が残りました、この辺が今までの品種とは一味も二味も異なる部分であるというのは後になって思い知らされる事になります。

次回は他品種との交配により遺伝的な疑問点を探るというおはなしです。



Canon EOS 10D・EF 50mm Compact-Micro Photo/S.kobayashi