■研究リポート 58.


ルブラの秘密
1.

□2009年07月のRREAウィーンルブラ親固体です。
これらの固体は成長にともなってルブラ表現の発色が強くなったものです。

以前から、ルブラの遺伝的な動きにつきましてご質問はいただいていたのですがあまり多くをお話することはしないようにしていました。
今までまだ多くの疑問点があり色々な交配を繰り返しながら手探りにて探査を繰り返していた訳です。

気が付いて見ますと初めて画像にてこのルブラをご紹介してからすでに五年がたとうとしていたのには自分自身驚きました。
ルブラをベースに今までにな
い品種の出現をいくつか見ることが出来、ネオンテトラグッピーの出現まで来ましてそろそろルブラに付きましておはなししても良い頃ではないかと考え現在見えているところまで少しづつご紹介してみようと思います。

そこで今回は出現の過程とルブラ表現の基本的な考え方など。

このルブラと名づけました表現が最初に出現したのはウィーンエメラルドを900mmX900mmX高さ600mmの水槽で自然繁殖させていた中からでした。
出現はたった1尾でした、自分のグッピー表現で記憶している中で全く当てはまるものが無くあわてて水槽を作り別に飼育をはじめました、このときは胴胎のメスを交配させて仔を得るつもりで飼育を続けました。
しかしこの時はついに仔を得る事ができずこの表現はそのまま立ち消えになっていまいました、お付き合いのお客様からは当時「あれどうなりました?」と随分といわれてしまいましたが中には「この流れでしたらまた出てくるかもしれまいですね」とおっしゃるお客様をおられ一途の期待が残りました。

それから半年過ぎてくらいでしょうか、ウィーンエメラルドとY型ダブルソードをベースにRRAE種のダブルソード表現を作出する過程から再度ルブラ表現が出現しました。
現在ルブラが労せずしてRREA種になっているのはこのときにRREAを持ち込んでいたからであります。
それはさておき、この時はある程度数まとまってルブラ表現は出現しました、たしか2〜3尾だったと思います。
そこで得意技でありますが、ルブラが出現した胴胎のメスと交配を試みました。
今回は上手い具合に仔を得ることが出来ました、オスの半分はルブラになり他の半分はウィーンエメラルドとY型ダブルソードの中間のような表現の固体をになりました。
メスは透明の尾びれでみな同じ表現の固体になりました。
ここでやっとルブラ表現を分離できる可能性が見えるところまでこぎつけた訳です。

ではルブラ表現とは何を指したものなのでしょうか。
このルブラ表現の最大のポイントはこの透明度の高い赤色にあります、今までのグッピーの赤色の色素胞は手を広げベタっとした表現で赤色を表現するとその下にある遺伝的表現はつぶれてしまうのが通常でした。
ルブラ表現はこのような表現と異なり表皮近くで表現している赤色を通してその下にある遺伝的表現までをあわせて見ることが出来る、この部分が今までに無いところです。
こうひとことでいうと一見簡単なのですがここのは大きな遺伝的な制約がかかわってきます、この辺が従来の遺伝的な考え方のみでは理解しづらい所です。
まあこの辺が新しい部分とご理解いただけると良いと思います。

さて次はどうした方法で固定にこぎつけたかといったおはなしから。



Canon EOS 10D・EF 50mm Compact-Micro Photo/S.kobayashi